呼吸を口でしていますか、鼻でしていますか。鼻づまりしているわけでもないのに口呼吸している方は注意してください。 静止状態でも口を開けっ放しにした口呼吸は健康によくない癖なのです。 口呼吸の悪影響の1つに、不正咬合があります。 歯並びの悪さ、受け口、出っ歯、これらを総称して不正咬合といい、口呼吸が関与していることがわかっているのです。
本来は鼻呼吸のほうが自然
母親の母乳を飲むとき、赤ちゃんは鼻呼吸をしています。それが成長して口呼吸になるのは「そのほうが楽」な状況で過ごす時間が長くなるからです。 口呼吸の習慣がつく要因のひとつにファストフードなど噛まなくてよい食事の増加があります。顎や頬が筋力不足になって口を閉じることが苦痛になってしまうのです。
口呼吸と不正咬合の関係についてみていきましょう。 鼻呼吸をしていると、つまり口を閉じている時間が長いと、舌が上の歯の内側に収まった状態になります。頬が外から歯を押すのに対し、舌が内側から歯を押すようになり、力が拮抗します。そのため歯は真っすぐ育つことができます。 ですので鼻呼吸の人は、不正咬合を起こしにくいのです。 口呼吸の人の口のなかは舌が下方に落ちてしまっているので、内側から歯を押す力が不足します。そうなると歯に加わる力が不均衡になり、歯並びが乱れてしまうのです。
口呼吸の癖がついている人が仰向けで眠ろうとすると、舌が喉の方に沈んでしまい、息が苦しくなりイビキをかくようになります。イビキは苦しいので、それを避けようと無意識に横向きで寝ることが多くなります。 左右交互に横向きになれればいいのですが、そううまくはいきません。大抵の人は、右側(あるいは左側)を下にしたほうが寝やすくなるので、その姿勢ばかり取るようになります。 そうなると、右顎(あるいは左顎)だけが枕に押され続けるわけです。その結果、顎の形に狂いが生じ、それが不正咬合につながってしまうことがあるのです。
不正咬合は、口呼吸や右側(あるいは左側)だけで寝る癖だけで生じるわけではありません。出っ歯や受け口などは遺伝することがあります。 しかし、だからといって悪癖を治さないでよいわけではありません。口呼吸を改善することで噛み合わせがよくなることも考えられます。また悪癖を治すことで矯正治療の効果が高まることが期待できます。
口呼吸の悪癖を自分で治せない方は、歯科クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。歯医者に診てもらえば、癖の治し方も教えてもらえますし、何が原因で不正咬合が起きているのかわかります。 原因がわかれば、生活の改善に取り組むモチベーションが高まるでしょう。