「インプラントを入れたら、歯みがきはどうすればいいですか?」
治療後、こうしたご質問をいただくことがよくあります。インプラントは人工物だから、むし歯にはなりません。では、ていねいに歯みがきしなくても大丈夫なのか?というと、実はそうではないのです。
実は、インプラントを良い状態で保ち続けるためには、普通の歯とは少し違うケアが必要です。今回は、インプラント後のホームケアについて、わかりやすくお伝えしていきます。
インプラントが「むし歯にならない」は本当のこと
まずはインプラントの構造を知ることが大事
インプラントは、あごの骨に埋め込んだ人工歯根(チタン製のネジ)の上に、かぶせ物(クラウン)を取り付けたものです。人工物ですから、確かにむし歯菌がエナメル質を溶かして進行する「むし歯」にはなりません。
でも「インプラント周囲炎」という病気がある
しかし、むし歯にならない代わりに、インプラントには「インプラント周囲炎」というリスクがあります。これは、インプラントの周囲の歯茎や骨に炎症が起きる病気で、歯周病とよく似た状態です。ですが、インプラントと骨や歯茎との結合の仕方が天然歯ほど優れていないため、一度病気が起こると進みが速い、という大きな注意点があります。
磨き残しのプラーク(歯垢)が原因で細菌が繁殖し、炎症が起きます。その後炎症が進行すると、支えているあごの骨が溶けてしまい、最悪の場合はインプラントを支えている骨がなくなり、インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
参考サイト:厚生労働省「歯周病」
インプラントのケアで普通の歯みがきと違う点
歯ブラシの当て方・選び方
基本的な歯ブラシでの磨き方に関しては、天然歯とほぼ同じです。
ですが、インプラントと歯茎の境目部分は細菌が溜まりやすい場所なので、歯ブラシを45度に傾けて、境目に毛先をやさしく当てながら磨くことを意識する必要があります。これは、歯周病対策の歯磨きの仕方と同様です。
毛の硬さに関しては、歯茎やインプラントを傷つけないよう「やわらかめ」を使うのがおすすめです。
歯間ケアが特に重要
インプラントは構造上、天然歯と違って歯茎との密着度が少し異なり、少し隙間が広めになっています。
そのため、歯と歯の間に汚れが溜まりやすく、歯間ブラシやデンタルフロスが非常に重要になってきます。歯ブラシだけでは、歯間の汚れを落とし切ることはできません。
インプラントを傷つけないような、専用の歯間ブラシ(スーパーフロスや、やわらかいゴムタイプ)もありますので、かかりつけの歯科医院で聞いてみるとよいでしょう。
洗口液(マウスウォッシュ)の活用
歯ブラシと歯間ブラシでのケアに加えて、殺菌成分が含まれた洗口液を併用するとより効果的です。ただし、洗口液はあくまで「補助」。ブラッシングの代わりにはなりませんので、ご注意ください。
インプラントを長持ちさせるために
定期的なメンテナンスは必ず受けて
ホームケアをどんなに丁寧に行っていても、自分では落とし切れない汚れや歯石はどうしても溜まっていってしまいます。
そのため、インプラント治療後には定期的なメンテナンスが欠かせません。
プロによるクリーニングと状態の確認を定期的に受けることで、インプラント周囲炎を予防し、長く快適に使い続けることができます。
関連ページ:インプラントはどのくらいもつの?長持ちさせるための秘訣は?
参考サイト:日本口腔インプラント学会「インプラント治療について知ってほしいこと」
喫煙・生活習慣にも気をつけて
喫煙はインプラント周囲炎のリスクを大きく高めます。また、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、インプラントに過剰な力がかかりやすいため、就寝時のマウスピース(ナイトガード)を装着したほうがいい場合があります。もしも該当する人は歯科医師に相談しておきましょう。
関連ページ:インプラント手術後はいつから仕事できる?食事や運動、喫煙は?
まとめ
インプラントはむし歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病に似た病気のリスクがあるため、毎日のホームケアは天然歯と同様に、むしろそれ以上に大切です。
歯ブラシに加えて歯間ブラシ・フロスをしっかり使い、定期的なメンテナンスを受けることで、インプラントは長く、快適に使える可能性が高くなります。
正しいケア方法を守り、インプラントを長く快適に使っていきましょう!

